日々の「小さなできた」を見つける習慣:自分を好きになる自己肯定感の育て方
はじめに:なぜか自分を責めてしまうあなたへ
日々の生活の中で、「もっとちゃんとできたはずなのに」「どうして私はこんなに要領が悪いのかな」と、つい自分を責めてしまうことはありませんか。特に、家事や育児、仕事など、やるべきことに追われる日々では、「今日もあれができなかった」「〇〇さんに比べて自分はダメだ」と感じてしまい、心の中が自己否定的な言葉でいっぱいになってしまうこともあるかもしれません。
自分を責める癖があると、心は常に緊張状態になり、前向きな気持ちを持ちにくくなります。そして、たとえ何かを成し遂げたとしても、それを「できたこと」として素直に受け止められず、「これくらい当たり前」「もっとできるはず」と、すぐに次の課題や自分の至らなかった点に目が向いてしまいがちです。
このような状態から抜け出し、少しでも心が穏やかになるためには、「自己肯定感を育む」ことがとても大切です。自己肯定感とは、「ありのままの自分には価値がある」と思える感覚のこと。この感覚が育つと、必要以上に自分を責めることが減り、たとえ失敗しても「次に活かそう」と前向きに捉えられるようになります。
「でも、自己肯定感を育むなんて難しそう…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、自己肯定感を高めるために、特別なことや大きな成功は必要ありません。実は、私たちの日常には、自己肯定感を育むための小さなヒントがたくさん隠されています。
この記事では、日々の「小さなできた」に目を向ける習慣を身につけることで、自己肯定感を少しずつ育んでいく方法をご紹介します。簡単なことから始められるステップですので、ぜひ「これなら試せそうかな」と感じるものから取り入れてみてください。
なぜ「小さな成功」を見つけることが重要なのか?
自分を責めてしまう人の多くは、物事を完璧にこなせない自分や、理想通りにならない状況に注目しがちです。大きな目標を達成できなかったり、目立つ成果を出せなかったりすると、「自分には価値がない」と感じてしまうことがあります。
しかし、私たちの日常は、ドラマチックな成功や大きな変化ばかりではありません。むしろ、ほとんどの時間は、当たり前だと思っていることや、ごく小さな出来事の積み重ねでできています。例えば、
- 朝、きちんと時間通りに起きられた
- 家族のために食事を作れた
- 頼まれた買い物を忘れずに済ませられた
- 子どもが笑顔になる一言をかけられた
- 部屋の一部だけでも片付けられた
- やらなければと思っていたタスクに少しでも着手できた
これらは、一つ一つは小さく、特別なことではないように思えるかもしれません。しかし、これら全ては、あなたが日々の生活の中で発揮している力であり、「できたこと」です。
自己肯定感が低い状態では、こうした小さな「できた」を見過ごしたり、「これくらいできて当たり前」と認めなかったりすることがよくあります。しかし、意識的にこれらの小さな成功に目を向け、認める習慣をつけることで、自分には「できること」がたくさんあるのだという実感が少しずつ湧いてきます。
大きな成功はめったに訪れませんが、小さな成功は毎日の中にたくさんあります。この「小さな成功」を積み重ねていくことこそが、自己肯定感という心の土台を強くしていくための、最も現実的で続けやすい方法なのです。
日々の「小さなできた」を見つけるための具体的なステップ
では、どうすれば日々の「小さなできた」に気づき、それを自己肯定感につなげていくことができるのでしょうか。今日からすぐに試せる、具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:意識的に「できたこと」を探す時間を作る
まずは、「できたこと」に目を向ける時間を意識的に作りましょう。一日を終える前、例えば寝る前に数分間、静かな時間を持って今日一日を振り返ってみるのがおすすめです。
その際、「今日はこれができなかった」ではなく、「今日はこれができた」という視点に切り替えて考えてみてください。完璧を目指す必要はありません。「朝起きて顔を洗えた」「〇〇さんに挨拶ができた」「食事を美味しく食べられた」など、どんなに小さなことでも構いません。
ステップ2:「当たり前」の中に隠れた成功を見つける
私たちは、普段当たり前にできていることほど、その価値に気づきにくいものです。しかし、健康であること、日常生活を送れていること自体が、素晴らしい「できたこと」の積み重ねです。
例えば、
- 朝ごはんを作れた → 段取りを組んで食材を調理できた
- 洗濯機を回せた → 家事をこなす段取りができた
- 子どもの宿題を見た → 子どもに関心を向け、教える努力をした
このように、普段「当たり前」だと思っている行動を分解したり、別の視点から見たりすることで、そこに隠れた自分の行動力や能力、思いやりなど、「できたこと」の側面が見えてきます。
ステップ3:成功の大小にこだわらない
「成功」と聞くと、何か特別なこと、大きな成果をイメージしてしまうかもしれませんが、小さな成功を見つける習慣においては、成功の大小は全く重要ではありません。
例えば、「ダイエットのために運動を始めたのに、今日は5分しかできなかった」と自分を責めるのではなく、「忙しい中でも、運動する時間を5分でも作れた!」と捉え直してみましょう。完璧ではなくても、目標に向かって少しでも行動できたこと自体が成功です。
できなかったことではなく、少しでも「できたこと」に意識を向ける練習をします。
ステップ4:記録してみる(簡単な一言でもOK)
見つけた「小さなできた」を、手帳やノート、スマートフォンのメモ機能などに簡単に記録してみるのも効果的です。「今日の小さなできた」といった項目を作り、箇条書きで書き出してみましょう。
- 玄関の靴を揃えた
- 読みたかった本の最初の数ページを読めた
- 新しいレシピで料理を作ってみた
- 疲れたけれど、早めに寝る準備ができた
書き出すことで、頭の中だけで考えているよりも、客観的に自分の「できたことリスト」を見ることができます。「ああ、こんなにたくさんできているんだな」と、自分の頑張りや行動力を視覚的に確認でき、自信につながります。凝った文章にする必要はありません。一言でも、記号でも構いません。
ステップ5:自分を褒める言葉をかける
「小さなできた」を見つけたら、心の中で、あるいは声に出して自分を褒めてあげましょう。「よくやったね」「頑張ったね」「えらいね」といった、温かい言葉を自分にかけてあげてください。
自分を責める癖がある人は、他人に褒められるのは苦手でも、自分自身を褒めることには慣れていないかもしれません。最初は少し気恥ずかしく感じるかもしれませんが、これは自分自身の努力や存在価値を認める大切な行為です。
「これくらいで褒めるなんて…」と思わずに、まずは小さなことでも良いので、意識的に自分を褒める習慣を始めてみましょう。
自己肯定感を育むための日常生活での実践方法
「小さなできた」を見つける習慣に加えて、自己肯定感を育むために日常生活で取り入れられることをいくつかご紹介します。
- 完璧主義を手放す: すべてを完璧にこなそうとせず、「〇割できていればOK」という基準を持ってみましょう。肩の力が抜けて、物事に取り組むハードルが下がります。
- 「まあ、いいか」を自分に許す: 失敗やうまくいかないことがあっても、必要以上に自分を責めるのではなく、「まあ、いいか」「次があるさ」と受け流す練習をします。これは諦めではなく、自分を追い詰めすぎないための優しい視点です。
- 自分を労わる時間を持つ: 忙しい中でも、自分が心からリラックスできる時間、好きなことに没頭できる時間を作りましょう。短い時間でも、心身を休ませて自分を大切にすることで、「自分には休む価値がある」という感覚が育まれます。
- 他者との比較を減らす: SNSなどで他者の輝かしい部分だけを見て、自分と比べて落ち込むことは、自己肯定感を低下させる大きな要因です。意図的に他者との比較をやめ、自分自身の成長やペースに目を向けるように意識しましょう。
まとめ:小さな一歩が未来を変える
自分を責める癖を手放し、自己肯定感を育む道のりは、一朝一夕に完成するものではありません。しかし、日々の「小さなできた」に目を向け、それを意識的に認める習慣は、そのための確かな第一歩となります。
最初はなかなか「できたこと」が見つけられなかったり、見つけても「こんなこと大したことない」と思ってしまったりするかもしれません。それでも大丈夫です。まずは「探してみよう」と意識することから始めてみてください。
毎日の中に隠されたあなたの力や頑張りに気づくたびに、心の中に温かい光が灯るのを感じるはずです。その光が少しずつ集まることで、自己肯定感という名の、どんな時もあなたを支えてくれる確かな力が育っていきます。
完璧を目指さなくて良いのです。昨日より少しでも、今日の自分を認められたら、それが素晴らしい変化です。日々の小さな一歩を大切に積み重ねて、自分を好きになる自己肯定感を育てていきましょう。あなたの毎日が、少しでも心穏やかになることを願っています。